ラスピラズリが降る夜に

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***  その日の晩に事件は起きた。  ミラッドに閃光が駆け抜け、稲妻が轟いた。  ベッドで眠りについていた僕はその音に弾かれ、飛び起きた。 「何!? 何の音!?」 窓を覗くと、隕石の様な煌々とした紅の燃える石が町に降り注いでいた。 ミラッドは炎を纏った隕石を受け、家も、森も、湖畔も燃えていた。 辺り一面が、瞬く間に火の海と化していた。 「う、嘘……」 「ノゼ! ノゼ!」 母が僕を呼ぶ声がし、一階に降りると、母は荷物をリュックにまとめていた。 「ミラッドから出るよ」 「え? でも…」 「この隕石はただの隕石じゃない。テレビでモゴック星の星統領様(ほしとうりょうさま)がハイノ星から宣戦布告を受けたと放送していた。宇宙戦争が始まったんだよ!」 「宇宙戦争…」 「ここに残っても私達ラピス族は人間に利用され、戦争の道具になる。人間達は私たちの30倍以上この星に居るんだ。数では叶わないからね」 「僕、戦争なんかに魔法を使いたくない」 「じゃあ、逃げるよ。母さんは一旦、足の悪い裏山のガノ爺を迎えに行くから、あんたは先に荷物を持って町の出口の門に行っときな」 「分かった」 母がまとめていた、僕の体の2倍ぐらいあるリュックに重量軽減の魔法をかけ、背負った。 「母さん、ガノ爺迎えたら、なるべく早く来てね」
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