【短編連作】愛はおしゃれじゃない〜DATE〜

DATE/宵闇と夕

　須藤義弘は主夫だ。
　付き合い始めて半年。殆ど毎日一緒にいて、更にはコロナが流行って緊急事態宣言が発令されて以降、たまに自分の物を取りに帰る以外はほぼこいつの家に住み込んでて、ますます痛感したけど、本質が主夫だ。
　本業はミュージシャン。華麗なるヴィジュアル系メタルバンド･ベルノワールのリーダーにしてベーシスト。闇の帝王と呼ばれる、カリスマ性溢れるミステリアスな男、宵闇。
　誰が家事が大得意で料理の上手い主夫だと思うよ。
　今朝、ステイホームに飽き飽きして来た俺が、どっか出かけねぇか？　って聞いたら、即答だった。
「業務スーパー行こうか」
　物凄くいい笑顔で言うもんだから、どうも逆らえねぇわ。めっちゃくちゃ楽しいイベントに誘ってるみてぇな顔してんだから。
　ってことで、近場の業務スーパー到着。バスで来られねぇわけじゃねぇんだけど、車のがいいよな。
　まあほら、三密とかいうのを回避する為にもなるべく公共交通機関は避けた方がいいし。
　宵闇は速攻でカートとカゴをつかみ、店内に突入する。俺はその後をぶらぶら着いていく。
「キャベツは高いな…よそよりはマシだけど…」