スマイル式天気予報

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スマイル式天気予報

 風呂上がりの僕は夜風に当たろうと窓を開け放った。  「あれ?」  窓の外で何かがふわりと浮かび上がった。  「何だろう?」  僕はきになって部屋を出て見に行ってみることにした。  「明日、天気にな〜れ!」  麻緒衣が空に向かって靴を放り投げていた。  「何してるの、麻緒衣?」  「天気予報だよ。明日は佐菜ちゃんの天候初日でしょ?だから晴れたらいいなって」  麻緒衣は昔から天気予報をするのが好きだった。  「また、裏返しだ・・・・・・」  地面に転がっている靴を拾い上げ、麻緒衣は小さく溜息をつく。  「よ〜し、リベンジリベンジ!」  そう言って、靴を履くと、再び空に向かって靴を飛ばす。  「表が出るまで投げ続ける気なの?」  「うん! だって晴れて欲しいんだもん」  それって、天気予報じゃないんじゃ・・・・・・。  「今度は横向き、曇りだ・・・・・・くすん。 ねぇ、佐菜ちゃんも一緒にやろうよ」  「え? 僕も?」  「ちっちゃい時はよく一緒にやったじゃない?」  「そう言えば、表が出るまでつき合わされてたよな。靴飛ばしてる傍から雨が降ってきたこともあったし」  「早く、こっちおいでよ」  手招く麻緒衣の隣に立ち、僕は空を見上げた。  「明日、天気にな〜れ!」  そう叫んで空に向かって靴を飛ばす。  弧を描いて地面に着地した僕達の靴は・・・・・・見事に表。  「やった! 明日は晴れだよ、佐菜ちゃん。良かったね!」  「うん」  麻緒衣が飛び上がって喜ぶ。  無邪気な笑顔を浮かべる麻緒衣を見て僕も嬉しくなった。  見上げた空には満点の星が瞬いている。  東京では見られないような星空。  僕は息を呑んでチカチカと輝く星を眺めた。  「明日からの学校、楽しみだなぁ。 みんなと同じクラスになれればいいんだけど」  「きっとなれるよ!」  「そればっかりは運を天に任せるしかなさそう」  「占ってみる?」  「靴飛ばしで?」  「表が出たら同じクラスになれるってことにしない?」  で、表が出るまで投げ続けるの?」  「当たり!」  それから僕達は星空に向かって靴を投げ続けた。効果については未知数だけど、麻緒衣流靴占いがあたればいいなと僕は心の中で思う。  明日から僕の新しい学校生活が始まる。  今朝までずっと不安がつきまとっていたけれど・・・・・・いつしか僕の胸は期待でいっぱいにふくらんでいた。
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