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青い鳥
となりの部屋に夫婦が引っ越してきた。
どうやら、離職中の夫と病弱な妻と言ったところだろうか。
そんな不幸を背負った人たちが隣の家に住むなんてこっちまで気が滅入ってしまう。
私は早くあいつらが出て行ってほしい。
ベランダはパーテーションで隣の部屋の様子は見えない。
しかし、パーテーションの下は10センチぐらい隙間があった。
その隙間から、鳥の餌を巻いてやった。
鳥の餌で害鳥を呼び、ベランダや洗濯物を糞で汚れまみれにさせてやろうと思った。
巻いた餌は鳥が食べてくれるので証拠も残らない。
われながら機転が利く。
それから毎日パーテーションの隙間から鳥の餌を巻くのが日課になった。
ある日、となりの部屋の奥さんとたまたまゴミ捨て場で会った。
奥さんはいつになく上機嫌だった。
私は「あら、何かいいことでもあったの?」と聞いてみると
「はい、実は最近朝になると、凄いきれいな小鳥がベランダにいるんです。その鳥が来てからなんだかいいことばかり
起きるきがするんです。最近の体の調子よくなってきましたし。」
「あら、いいわね。鳥ってどんな鳥なの」
「名前は知らないけど、手のひらぐらいのサイズかしら、声がとてもきれいなのよ。」と笑っていた。
私は悔しかった。
私はあいつらに嫌がらせをするために鳥の餌を巻いてたはずなのに、なぜ害鳥ではなくそんな美しい鳥が来るのだろうか。
「そう、それならフルーツを置くといいわよ。」と言ってやった。フルーツは害鳥の好物だ。
私は早速家に帰ってベランダに鳥の餌を巻いた。
隣の家よりももっと立派な青い鳥が来るに違いない。
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