日曜日の墓参り

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 そんなハチに、初めて助けてもらったのは、ハチをもらって4日後の日曜日。  朝から電車に乗って、ばあちゃんの墓のある霊園に行った時のこと。お守りを持たず、俺1人で墓参りに来るのは初めてだ。管理事務所の前で、少し緊張しながら立ち並ぶ墓を眺めて見る。意外に大勢の人が見える。その殆どは、亡くなった人なんだろう。来る途中や霊園の駐車場を見ても、こんなにたくさんの人がいるとは思えない。だけど、怖い感じはしない。ほっとして、管理事務所で買った花を持ったまま一番近い水汲み場に行こうとすると、突然、ハチが出てきて俺の行く手を遮った。 「どうした?ハチ」  聞いても、俺に向かって吠えるばかり。一歩近づく度にさらに激しく吠えるので、仕方がなく遠い方の水汲み場で水を汲んだ。ばあちゃんの墓に向かう時も、ハチは度々俺の行く手を遮り、終いにはこっちに来いとばかりに、俺を振り返りながら先を歩く。俺はかなり遠回りをして、やっとばあちゃんの墓に辿り着いた。  定期的に母さんが掃除している墓はほとんど汚れもなく、適当に洗って墓の前に座って手を合わせる。墓を洗っている間、ちょこちょこと走り回っては時々吠えていたハチは、俺がしゃがんで手を合わせると、ぴったりと俺の横に並んで座った。 「ばあちゃん、この子がハチだよ。ばあちゃんのお守り代わりにって、神山のお母さんがくれたんだ」  周りに誰もいないのをいいことに、神山家での出来事、神山家での出会いをかいつまんで話した。 「夢と同じことを喋ったかな?」  ばあちゃんからの返事はない。返事の代わりなのか、この季節にしては爽やかな風が頬を撫でた。
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