sun&moon

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無防備に肌を晒したセックスは、いつ以来だろう。 逸る体は、もうグズグズだ。 真一の指を簡単に飲み込む。 私のイイトコに、彼の骨張った節が当たる。 「…ふっ…うふ」 媚びる様な声に、グジュぐぼっと水音が重なる。 同時に、さっきから真一が繰り返す噛みつく様なキスで、上も下も洪水だ。 彼が漏らす吐息も熱い。 ああ、気持ちいい、 女だと実感する。 腰がねだり始めた。 私達は、一晩中むつみあった。 なのに、最後まで出来なかった。 彼も興奮してたのに… 目を伏せ、 「ごめん」と申し訳なさそうな顔をする真一を見たくなくて、胸に搔き抱き 「少し寝よう」 彼の髪の毛を手櫛で掬ううちに、寝息が聞こえてきた。 ふと、大分前渉君の言った忠告が甦った。 まさか、 そんな!? 寝入ってる真一を凝視する。 私と母親が重なるの? あられもなく腰を振り、嬌声をあげるから? 女なら誰しも、好きな人に触れられ感じたら、そうなるでしょう!? もし、これからも出来なかったら? 挿入だけがセックスじゃないし、他にやり様はある。 でも私は最初に、ミチミチと入るあの感じが好きだし、 男を咥え込み、パチュパチュっとお互いの肌がぶつかる音と感触に、今生きてると感じる。 男女のセックスでしか埋まらないもの、 慰められない事は確実にある。 私は手元の枕に顔を押し付け、慟哭した。 ホームで真一と指を絡めて、帰りの電車を待つ間、青空に白い月が見えた。 昨夜は、あんなに輝いていたのに、今は寄る辺なく物悲しい。月を見上げてると、額に、頬に、繋いだ手にキスを落とす真一。 電車が来た。座席に座る。 私は、真一の肩に凭れかかる。 私の頭をそっと撫でる彼。 目頭が熱くなる。 この人の放つ優しさは、残酷だ。 月は太陽の光を浴びて輝く。 貴方は、私の愛を受けて輝く。 では、太陽自身は何を糧に輝けば良い? 私自身、何を糧に貴方を愛したら良い? (完)
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