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「やっぱり陽菜だったね。
そそっかしいから車に気づかないかもって思ってたら案の定だった。
でも違う人だったらって思ったけど命はかけがいないものだしね。」
「良ちゃん...なんばいよるのかわからんよ。
こん人って誰ね?
良ちゃんじゃなかとね?」
「うん、僕みたいだね。
どうにもならない事ってあるんだよ。
でも決まってたみたいだ。」
「何ば言よっと?
良ちゃん...死ぬとね?
私はどぎゃんすればよかと...」
「陽菜の九州弁久しぶりに聞いたよ。
やっぱり可愛くて素朴でいいね。
でも...
悲しまなくていいから...
必ず僕は君を探し出すから...絶対に。
だから、悲しまないで...
僕の事は忘れてくれないかな。
君が無事で良かった。
こうして抱きしめて君の温もりに触れられて...」
私は良ちゃんに抱きしめられている人を屈み込んで見てみた。
私だった...どうなっているのか分かんないけど...
間違いなく私だ。
赤みがさした額には気にしていた前髪が雨に濡れて黒い木の根のようにへばり付いて、馬鹿な私は幸せそうな顔をしていた。
「良ちゃん...私...」
振り向くと、もういなかった。
私の最愛の人...
雨の雫のように消えてなくなっていた。
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