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私は疼くような足の痛みで目が覚めた。 病院のベッドだ。 身体を動かそうとすると左腕と左肩に痛みが走った。 側には母が居眠りをしていた。 「おかあちゃん...」 呼んでみたが、声があまり出なかった。 再度、お腹に力を入れて呼んだ。 「おかあちゃんてば...」 「あぁヒーちゃん、起きたね。痛かトコはなかね?」 「うん...ごめん、心配ばけてしもうた。」 「みんな、たいぎゃな たまがった ばってん、 あたが ぶじで なによりたい。 たすけてもろうた人には わるかこつ したばってんね。」 私はあの降りしきる雨の中の出来事を思い出していた。 夢ではないけど道路に横たわった良ちゃんと私。 そしてそれを見ながら会話した良ちゃんと私。 「助けてくれた男の人は どぎゃん なったと?」 「ふぅ、あぁ... あん人は 亡くならしたたい... ほとんど即死...だったげにゃ...かわいそうなこったい。 あんたの 知り合いだったてね... 人ば助けて 自分が死ぬるとは 仏さんのごたる。」 私は右足を骨折して左腕にヒビが入っていた。 良ちゃんが流した血に比べたら何て事ないのだけれども、折れてしまった生きる気力はもう元に戻らない気がした。 両親や兄は帰郷するように強く勧めたが、私は決めかねていた。 どこにいても良ちゃんの事は離れないし、このままこの街を出ていくのも何か違うような気がしていた。 事故が起きた時の事も詳しく聞くことが出来た。
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