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「……またか。」
目の前で、マネージャーの比佐が髪を手で少し掻き乱して、大きな溜息を漏らす。
少し乱暴に置いたその雑誌を見ると、見慣れた自分の顔が写っていた。
「"深夜のラブコール、愛を育むか?"だって。ウケるね。」
「ウケないだろ。」
ジトリ、こちらを睨む比佐に肩を竦める。
そんな怒んないでよ。
やれやれと頬杖をついて、俺はその雑誌を手に取った。
「今回、すごいね。もうツーショットでもなんでも無いじゃん。」
所謂、週刊誌のスキャンダルだ。
俺は最近何かと頻繁に登場させていただいているわけだが、今回は特に凄い。
グラビアアイドルと電話で通話したタイミングが同じだったと、先ほど言ったラブコールの見出しと共にお互いがスマホを持つ写真が並べて掲載されていた。
「因みにこれ、比佐にラブコールしてる時だな。」
「…おい、翠。冗談言ってる場合じゃないぞ。もうこの短期間で2度目だ。」
「比佐、俺が笑ってるように見える?」
「……、」
「_____そろそろ俺、キレるけど。」
比佐は俺の顔を見て、目を大きく開く。
そうして零すような息の後、比佐は「お前がキレると面倒くさい…」と疲労困憊の顔で呟いた。
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