【side:翠】マスカレードのカノジョ

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◻︎ ドラマの撮影が終わる深夜。 カメラマンが張っているのを確認した後、俺と比佐は別の場所で志麻と昴の様子を伺っていた。 3年ぶりに見る志麻は、綺麗な艶のある髪が背中にかかるまで伸びていた。 だけど、芯の強そうな瞳も、昴に真っ直ぐ言葉を返す姿勢も。 「…変わってないな。」 呟いた自分の言葉には、安堵が多分に含まれていた。 「…なんであんな仲悪いんだあの2人。」 聞こえてくる会話と殺伐とした雰囲気に、比佐は疲弊した口調でそう漏らした。 苦労が絶えないな、比佐は。 俺は人のこと言えないし、今から多分もっと疲れさせるけど。 「…比佐。カメラマン捕まえたら連絡するから。先に社長の家行ってて。」 「はあ?」 作戦では、以前と同じように、比佐がカメラマンを追う予定だった。 でもごめん。 _____今度は、俺が、助けたい。 「翠!?」 そうしてシャッター音が聞こえた瞬間、俺は地面を思い切り蹴って、カメラマンを追って走り出した。
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