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ドラマの撮影が終わる深夜。
カメラマンが張っているのを確認した後、俺と比佐は別の場所で志麻と昴の様子を伺っていた。
3年ぶりに見る志麻は、綺麗な艶のある髪が背中にかかるまで伸びていた。
だけど、芯の強そうな瞳も、昴に真っ直ぐ言葉を返す姿勢も。
「…変わってないな。」
呟いた自分の言葉には、安堵が多分に含まれていた。
「…なんであんな仲悪いんだあの2人。」
聞こえてくる会話と殺伐とした雰囲気に、比佐は疲弊した口調でそう漏らした。
苦労が絶えないな、比佐は。
俺は人のこと言えないし、今から多分もっと疲れさせるけど。
「…比佐。カメラマン捕まえたら連絡するから。先に社長の家行ってて。」
「はあ?」
作戦では、以前と同じように、比佐がカメラマンを追う予定だった。
でもごめん。
_____今度は、俺が、助けたい。
「翠!?」
そうしてシャッター音が聞こえた瞬間、俺は地面を思い切り蹴って、カメラマンを追って走り出した。
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