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何かあったときのためにと、予め繋いでおいたBluetoothイヤホンが着信を知らせる。
"お前、!何考えてんだ!"
切迫した比佐の声に思わず笑いながら、前を追うスピードは緩めなかった。
イヤホン越しに、比佐が長めの溜息を漏らす。
そして。
"私は命かけて真剣に演じてるの!!
ストーリーを、登場人物たちを、ちゃんとみてほしい。"
彼女の声が、遠巻きに聞こえてきた。
比佐がどうやらスピーカーフォンにしたらしい。
自分がどんな風に仕事をしているのか、それをはっきりと昴に伝える志麻の透き通った声が鼓膜を揺らす。
"そんな人気の出方ならクソ食らえだわ!!"
「、ははっ、」
俺は全速力の中、思わず笑った。
やっぱり志麻は何も変わっていない。
時間が経っても変わらず、
俺が好きな彼女のままだった。
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