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「いやー、葉子さんってあんな感じなのにやっぱり天才なのかもしれな…
志麻?」
私の異変に気付いた翠が、名前を呼ぶけど、私は未だに台本で顔を隠したままで、反応ができなかった。
「志麻、どうした?」
突然のことに、きっと焦っている。
先程までと打って変わって戸惑いを含んだ声と共に、こちらへ近寄る気配に気づいて、私は先手を打つように声をかける。
「翠。」
「…うん?」
「今から言うこと、聞き終わったらすぐに忘れて。」
「は?」
自分でも言ってることがめちゃくちゃだ。
でも、なんか、駄目だ。
止まれそうに無い。
きゅ、と台本を掴む手に力がこもった。
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