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「________共演できて、嬉しい。
翠が、私のセリフ合わせに付き合ってくれてたあの頃と、今回は違う、から。
一緒に、同じ目線で、同じ作品の話ができる。
それがなんか、凄く嬉しくて、困る。
そ、それだけ。以上。」
最後の方は、もう声が震えてしまった。
なんだかもっと自然な感じで伝えたかったのに、言葉の締め方もどこかの教官みたいになってしまった。最悪だ。
台本で顔を隠してはいるけど、デニムに染みがぽたぽたとできていて、泣いている自分自身に戸惑う。
膝を抱えるようにソファの上に座っていたが、恥ずかしくなって、より縮こまるように身体を小さくした。
「…志麻。」
優しく名前を呼ばれるだけで、涙がより溢れるのはどうしてだろう。こんなの、情緒不安定な奴みたいだ。
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