【後日談1】

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「で、読み合わせするの?しないの?」 楽しそうにそう問いかける翠に、少しム、としながら、勿論するに決まってると、奴の近くにある台本に手を伸ばした。 と、その瞬間。 「、」 腕を急に引かれた私は、勢いよく目の前の男の胸に飛び込む形になる。 「ちょっと…!」 危ないでしょ、と、揶揄してやろうと勢いよく顔を上げた瞬間。 後頭部にいつのまにか回っていた手に顔を固定されて、唇を塞がれた。 「っ、」 一瞬の出来事に思考までも奪われた私が次に気がついた時には、至近距離で挑発的に口角を上げる翠の顔があった。 「そっちから距離つめてきておいて、それは離さないでしょ。」 また、いつぞやのセリフを使って微笑む男。 心拍数、測ってやろうかな。 「……キスシーンは、無かった筈ですが。」 精一杯の虚勢でそう零す私に、耐えきれないと言わんばかりに笑った翠は「職業病はどっちだよ。」と楽しそうに言った。 きっと私の照れ隠しだって分かっているくせに、「もう少し練習しますか?」なんて返してくるこの男には、一生敵わない気がしている。 だから、キスシーン無いってば。 【後日談01】 職業病には、ご注意を 恐らく双方、重症です。 fin.
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