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「今日、飲み会だったんですか?」
「そう、ドラマの打ち上げ。
國立さんとの映画撮り始める前に撮影が終わってたやつなんだけど、スケジュールずれ込んで今日になったんだ。」
「…お酒、弱かったんですね。」
翠とお酒を飲む機会が無かったから、そんなことを考えたこともなかったけれど。
「んー…いや、どうかな。」
なんだか急に歯切れの悪い田端さんを不思議に思いながらも、特にそれ以上は追及しなかった。
「…ん、」
すると、ベッドに横たわっていた男が、私と田端さんの方を向く。
いつもは涼しいその顔が、確かにほんのり赤い。
「こんな風になってるこいつは珍しいかな。」
困ったような微笑と共にそう言う田端さん。
依然、その長い脚を軽く折りたたむようにして、すうすうと気持ちよさそうに眠り続ける男。
長い睫毛も、真っ直ぐな鼻梁も、鎖骨が綺麗に見えるその首元も、全てが芸術作品のような男は、今は少しだけあどけなさが見えた。
なんか、
「かわいいですね。」
「……え?」
「……………………え?」
私、今なにを言った?
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