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「明日オフって知ってたから、今日打ち上げ早めに抜けてすぐ向かう予定だったんだけど。
なんか自分でも驚くくらいお酒がまわるし、最悪。」
"緊張して、お酒の力借りようとして配分間違えただけ。つまりアホだな。"
田端さんの言葉も思い出して、私はいよいよ声を出して笑ってしまった。
翠は、何その笑顔可愛い、と言いながらも、こういう流れは自分の計画と違うと、納得がいっていないようだった。
「志麻、こんな夜中にごめん。
ちょっと駄目だ、やっぱりまた仕切り直しさせ…」
今日の私は、変だ。
田端さんの前で、ポロリと本音を漏らしてしまったり、なんだか目の前の男に、手を伸ばしたくて堪らなかったり。
やり直したいと焦る翠の頬をそっと両手で包んで、下からすくうように唇を重ねた。
こんなこと、絶対いつもなら出来ない。
「……え、」
突然のことに、男は目を丸くして固まっていて。
そういう姿も新鮮だと、私はやはり笑いが込み上げる。
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