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「國立さんのスイさんへの愛が伝わりました…!ありがとうございます。」
質問した記者はそれはそれは満足そうに椅子に座ろうとする。
「あ、俺からも良いですか?」
にこやかに、そう割って入った俺の行動が意表を突いたのか、志麻が即座にこちらを見た。
一瞬目があって、少し不安そうなその視線に俺は目尻をゆっくり下げた。
馬鹿だなあ、志麻。
言われっぱなしで、終わるわけ無いじゃん。
「なんか今のだと誤解されそうだから言っておきますね。
俺が、必死で射止めたんですよ。」
「、」
「ずっと走り続けてる彼女に俺が惚れて惚れて、やっと付き合えたんです。」
自分1人で、やっていく。
そう言った志麻は離れてからも懸命にこの仕事に向き合って。
そういう姿を好きになったって、こいつらにそんな簡単に分かられても腹は立つけど。
「…浮名を流してきた、でしたっけ。」
「…え、」
別に、この記者に何か恨みがある訳でもないしちょっと申し訳ない気もするけど、まあ仕方ない。
「過去の記事について今更とやかくは言いません。
でもここからは違う。
この先も好き勝手に書かれるようであれば、彼女にも大きく影響する話になりますし容赦しませんので、皆さま覚悟して書いてくださいね。」
舞台袖の比佐が、頭を抱えているのが横目で分かる。
ごめん、でもやっぱり、志麻だけに背負わせるわけにはいかないから。
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