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「それが夫婦っていうものです。」
「…そうだったんですか。」
「そうだよ、じゃなきゃ寂しいだろ。」
少し不満げにそう言う翠に、心がじわじわと熱くなる感覚を覚える。
悩んでる私を察してこうして連れ出してくれるこの男を、支えられるくらいには、なりたいなあなんてぼんやりと思う。
「…翠も持ってるよ。」
「ん?」
「"いつでもどこでも、國立志麻とデートできる券"。」
言いながら顔にどんどん熱が集まっていく。この男はなんで素面でこんな台詞が言えるのか理解できなくて、私は美味しい料理を誤魔化すように口へ運ぶ。
ふ、と溢すような息遣いの後。
「そうなんだ知らなかった、最高じゃん。」
扇情的な笑みでワザとらしくそう言ってくれる男に、やっぱり勝てる時なんて来ない。
【後日談04】
使用説明書
この券に有効期限はありません
何度でも利用可能です
だから、これから沢山使うしかなくない?
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