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「……欲しいものくらい自分で聞けよ。」
「………」
そう。
先程から何をこんなに言い争っているかというと。
もうすぐ、正確には来週。
翠の、誕生日がある。
ネットで検索をかければ、
"愛する彼に、何を届ける?♡"
なんて可愛らしい記事が見つかってしまって、無事に離脱した。
何というかもう、全然キャラじゃ無い。自分で当て嵌めようにも想像ができなさ過ぎて泡を吹いた。
途方に暮れた私は、こうして撮影の休憩時間に、昴に翠へのリサーチをお願いしたのだが。
「あんたがこんなに薄情な奴だったとは知りませんでした。大変悲しい。戦力外通告です。」
「光栄ですね。」
む、むかつく。
「…お前さ、まず自分で考える力をつけないと、人なんてすぐ退化してくんだからな。他の奴にもむやみに聞くなよ。まず己で考えろ。」
「……はあ?」
何なんだこの男。怪しい塾講師みたいなこと言い出した。
「全然意味がわからない。
しかもわたしはあんた以外に相談できるような人が居ない。」
田端さんはあの男に近すぎてバレてしまいそうだし、香はすこぶる嫌がりそうだ。
そう思いながら言うと、「可哀想。」と、すました表情のまま言われた。
成る程、こいつとは後ほど一戦を交えさせていただく。
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