「あの過去形、修正してよ。」

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「……かおる。」 "……志麻?" 「…いま、全部聞いた。香、どうしてなにも言ってくれなかったの。」 "……あのスイとかいう奴、まさか全部しゃべったのね?" 電話越しに、怒っている香が容易に想像できた。 「香。私、香にどれだけ守られてたのか。 ずっと、なにも知らなかった。」 "……違うわよ。私は、あんたを守る存在だから当たり前なの。あんたが、存分にこの世界で活動できるように。 ナインズへの密告電話も、半ば意地みたいなものだった。誰かと一緒に協力して志麻を守るなんて最初は考えてもなくて、「私が」守るんだって、そればっかりで。 …もっと早く私がそこのクソガキやナインズの人たちに相談してたら、志麻は3年前、あんな思いしなくて済んだかもしれない。ごめんね。" 私は必死に首を横に振る。 そんなこと、思うはずがない。 「私が今もここに居られるのは、皮肉だけど、あの記事があったからだよ。知名度も実力も無くて、打ちのめされたあの時間が、私を今日まで走らせてくれた気がする。 香。一緒に走ってくれてありがとう。」 "…3年前、あんなことがあったのに志麻は私と常務を信じてくれた。それがすごく、嬉しかった。まだこの子は私達を頼ってくれるんだって思ったの。" 私も、香も、声が震えていた。
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