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「……國立 志麻?誰それ。」
"今度の私の映画で主演をやる子なの。
なかなか、面白いわよ。"
「ふーん。」
ラブコール記事から程なくして、急に電話をかけてきたのは俺の叔母の真飛 葉子さん。
電話を取った時、
"ラブコールのスイさん。元気?
あんたも詰めが甘いわね。"
と隠せない笑いを込めながらの第一声で、完全に面白がっているのが分かった。
そんな彼女の本当の目的は、どうやらある女優の話をしたかったらしい。
オーディションで出会った時から他には無い雰囲気を持っている子だったとか、荒削りだけど全力の演技で、なかなか筋が良いだとか。
葉子さんにしてはかなり珍しいベタ褒めだった。
「事務所どこ?」
"あー…確か、リネンプロダクションだったかしら?"
うーわ、最悪。
俺の最近のスキャンダル騒動は、全てこのリネンプロ所属のタレントや女優によるものだ。
それを自分でも分かる低いトーンで伝えると。
"ちっさい男ね!事務所で判断してんじゃないわよ。"
「さっき詰めが甘いっつったの誰だよ。警戒するに越したことないから。」
"やだやだ、人気俳優になったら視野も狭くなんのね。"
そう受話器越しに言われて俺は小さく溜息を吐く。
そうさせてる方が悪いだろ。
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