1355人が本棚に入れています
本棚に追加
/154ページ
"…まあ、志麻に会ったらあんたも分かるわよ。"
「……だと良いけどね。」
電話口で、最後まで興味を持とうとしない俺に葉子さんは怒っていたけれど、警戒心を解く気はさらさら無かった。
それから暫くして、葉子さんの映画が封切りになった。予告映像が解禁されてから、主人公のミハネは誰だとSNSでトレンド入りしていたのを横目で見ていた。
「……リネンプロダクションか。翠、もしかしたら、」
「確実に、次はこいつでしょ。」
比佐の予想を遮るようにして、俺は答えを言い切った。
もし、次に俺が狙われるとしたら。
事務所が猛プッシュしたいであろう、この女に違いない。
テレビに映る予告映像を見ながら、俺は乾いた笑みを浮かべていた。
今度はこっちから、近づいてやろーじゃん。
最初のコメントを投稿しよう!