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「何も1人で守らなくても良いだろ。」
そう言って、比佐はスマホを俺に差し出す。
アドレス帳の1ページが映されていて、そこには電話番号と、"築島 香"という名前が書かれていた。
「薄々気づいていると思うけど、國立さんのマネージャーだ。」
密告の電話は「俺たちの」味方だと思っていた。
まあもちろん敵では無いけど。
でももしかしたら、
「志麻を守りたい」人物なのかもしれない。
そう、思ったりもしていた。
「…比佐の好きな人?」
「……そうだよ。」
からかうつもりでそう投げかけた俺の問いに、意外にも比佐は即答で認めた。
俺は思わず視線を向ける。
「…だから、お前も認めろ」
やっぱり、俺は比佐のそういう真っすぐな言葉に弱い。
ソファに寝転んでいた俺は、片腕を両眼の上に覆うように乗せる。
嗚呼、やっぱり俺は馬鹿だ。
"手離せるのか?"
そんな焦りはもう自分の中でとっくに答えが決まっていたからなのに。
手離せるわけが無い。
だから、守りたいんだ。
いつの間に。否。
「…最初から、か。」
俺は、志麻が好きだ。
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