第五章 マシュマロの破壊力

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「あの、聞いてもいいですか?」  みさをの狙い通り、甘い物を食べて気持ちがほぐれたのか、由愛の方から話しかけてきた。 「うん」 「萩野さんは……」 「みさをでいいよ」 「みさを……さんは阿倍野先輩とどういう関係なんですか?もしかして……恋人とか?」  由愛は訝しむような目つきをしている。 「ううん、ただの同居人だよ。えーっと、今流行りのルームシェアってやつ。ほら、この部屋独りで住むには広すぎるでしょう?」 「そうなんですね。良かったー」  由愛は嬉しそうに言って、グーにした両手を口に近づけた。まるでアイドルのような仕草にみさをは苦笑する。  でもあっさり納得してくれて良かった。どこで知り合ったのかなど追及されたら困る、とほっとしていたのも束の間ーー。 「私、阿倍野先輩が好きなんです!!」  由愛が次に放った言葉に驚いて、椅子からずり落ちそうになった。  なぜ唐突に告白を? イマドキの子の会話ってこうなの? 「そ、そう」  キキの個人的事情にはあまり踏み込まない方がいい気がするが、由愛の口を塞ぐわけにもいかず、とりあえず相槌を打った。  考えたら、今までキキと恋愛の話はしたことがなかった。お互いにわざと避けているようなふしもある。といっても、みさをの方は取り立てて話すような経験もないのだが、百戦錬磨に見えるキキにはいろいろあるだろうとは思っていた。
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