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恐る恐る振り返ると、怖いくらい真っ直ぐに私を見る南雲と目が合った。
「な、ぐも……」
これまで見たことがないほどの真剣な表情。
「どうかした、私またなんか、」
変なこと言っちゃった?
そう言いかけた私の腕を、南雲がぐいっと引っ張った。
「わっ、」
いきなり引っ張られたせいで、ぐらりと体勢が崩れる。踏ん張りの効かない体は、そのまま南雲の方へ倒れ込んだ。
私を長い腕と硬い胸で受け止めながら、彼が言った。
「やっぱりハチだな」
「ご、ごめん」
謝りながらすぐに離れようとしたら、なぜか背中に両腕が回される。
「ちょっ、もうだいじょう、」
「俺は大丈夫じゃない」
「え?」
「今さら他のやつに取られてたまるかってんだよ」
「な、なに?南雲……?」
そんなことより、こっちは心臓が暴れて飛び出しそうなんです。もう何でもいいからとりあえずこの体勢を何とかしてほしい。
彼から離れようと身じろぎした時
「ちゃんと言わないと全然分かんないあたり、ほんと、らしいな」
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