flavorsour 第一章

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結婚式での私の様子を見ていただろう彼にとって、今、この場所にいる私はそのイメージからは似つかわしくない居住まいだといえる。 「え、そうなの? 何、どういう関係?」 「こんな凄い美女と知り合いなの?」 私が黙っている間に彼を除く男性たちも興味津々にそんなことを言って来る。 (焦るな~~~何とでも誤魔化せるでしょう!) 伊達に長年巨大な猫を被って来たわけではない。こんな不測の事態なんていくつも乗り越えて来たのだから。 そんなことを考えていた私がようやく絞り出した誤魔化しを口にしようとした瞬間「会社の後輩の結婚式で会った人だよ」といった彼の言葉に内心ギクッとした。 (ちょっとぉぉぉ、なんだかご丁寧に真実を語ろうとしている?!) 実をいうと私は会社の人たちに実家のことや双子の兄がいることなどを内緒にしていた。変に勘繰られたくないという気持ちからあえて話したりしていなかったのだ。 (私に双子の兄がいると知ったら絶対会わせてとか紹介してとか言って来そうなんだもの) 恐らくそういうことを言う人たちは私だけを見て双子の兄もカッコいいのだろうと勝手に思うに違いない。そして実際の兄を見てガッカリしたり落胆したりするのが目に見えて分かる。 本当はとても素晴らしい兄なのにその見た目だけで誤解されるのは我慢ならなかった。 だから家族のことは内緒にしておきたかったのに──……
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