flavorsour 第二章

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彼女が何に対してそんなに謝っているのかはやっぱり駄々洩れになっている彼女の心の声で理解出来た。 スキデモナイオンナト イッショニスンデモ アナタハシアワセニハナレナイ アナタノキョウグウヲシッテモ ヤッパリワタシハ アナタノ ミカタニハ ナレナイ アナタヲ オウエンスルコトハ デキナイ ゴメンナサイ ゴメンナサイ ゴメンナサイ (……はぁ) まるで洪水のように俺の頭の中に流れ込んで来る彼女の本音。そのどれもが俺を労わる気持ちばかりだった。 (全く……どこまで人がいいんだ) 少なからず全く嘘ではない家庭環境を少し話しただけで彼女は一気に俺に対して同情的になった。 それは一緒に住む上で得なのか損なのか、この時点では全く分からないが、とりあえず今はその同情を利用しようと思う。 (本当は同情なんて要らないんだけどな) 君の同情なんか要らない。 欲しいのは愛情。 踏み荒らされた足跡ひとつついていないようなその真っ新な雪原の深さを俺に対する愛情で更にかさ増しすればいいと願う。
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