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同棲──もとい、同居するにあたってのルールを箇条書きした紙を壁に張った彼女が俺を見た。
「このように決めましたが何か訂正したい箇所はありますか?」
「いや、ないよ」
「無理、していませんか」
「していないよ」
「──そうですか」
「……」
(そう、無理なんか全然していない。──寧ろ)
先刻の一件で実は俺が喜んで彼女と住むわけではないと勘違いしてくれたおかげで色々と都合がよかった。
とりあえずしばらくは彼女の誤解を利用させてもらいながら彼女と親しくなって行こう。
ゆっくりと時間をかけて俺が本当に欲しいのは君なのだと分かってもらえるように。
──願わくば……
俺の全てを知ってしまっても嫌いにならないまでに彼女を俺の虜に出来たらいいなと、そんな壮大なミッションにほんの少しだけ緊張感を覚えたのだった。
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