flavorsour 第三章

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濡れた顔をタオルで拭きながら鏡を見る。 (メイク、どうしようかな) 実家にいた時は食事を済ませた後、家を出る直前に施していた。メイクをしたまま食事を摂るのはあまり好きじゃなかったから。 会社に行っている時や付き合いで外食する時は仕方がないけれど、そうではない時は極力避けたいことのひとつであった。 純粋にひとり暮らしだったら問題なくこのまま朝食とお弁当作りに取り掛かり食事コースなのだけれど…… (……仕方がない) とりあえず料理を作るまではノーメイクでやってしまおう。作り終わってからでもメイク時間はあるだろう。彼が起きる前に部屋に閉じこもれば素面を見られることもない。 (──よし!) そうと決めたら急いで作業にかかろうと私は足早にキッチンへと向かった。
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