flavorsour 第一章

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彼が更に何か言う前に誤魔化しを口にしようと思ったが、続いた言葉に目を見張った。 「後輩の結婚式で新婦側の友人で来ていたのを見かけたんだ」 (え? ?) 彼から発せられた言葉が一瞬理解出来なかった。彼とは蓮の結婚式の時にしか会っていないはず。他の式で彼と会った記憶が私にはない。 (……どういうこと?) 頭の中に?マークが乱立する中、彼はそのまま「俺が一方的に見惚れていただけ」なんて軽口を叩いていた。 しかし彼のその発言のおかげで川合さんや笹本さん、男性たちも「あぁーなるほど、一方的にねぇ~」なんて茶化していた。 「……」 (とりあえず……窮地は脱した?) 私がひと言も発しないまま問題は通り過ぎたようだ。 どうしてそうなったのか分からなかったけれど、とりあえず(ありがとう! 気を利かせてくれて!)と心の中で彼に対して両手を合わせた。 すると何故か彼とバッチリ目が合ってにっこりと微笑まれた。 「……」 (その微笑みはなんの微笑み?) 彼の不思議な微笑みにまたしても私の頭の中には?マークが湧いて出たのだった。 思い返してみれば彼は初めて会った時から不思議な人だった。 『顔、筋肉痛になったことある?』 『君って本当に笑ったらどんな顔になるの?』 なんて私が完璧を極めた愛想笑いをそれだといわんばかりの発言をした。
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