flavorsour 第三章

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『朝ご飯、俺も和食派だよ』 (そんなの……まだ訊いてもいないのになんで?) 彼と話しているとこういうことをよく経験する。私が考えていることに対してリンクするような言葉を発するのが不思議でならない。 (まさか私の考えていることが分かる……──わけないか) そんな眉唾物なことは考えないけれどそ、れにしても気になってしまう。単に勘のいい人なのか、それとも…… (というか私、考えていることが顔に出過ぎ?!) 以前彼に言われたことがあったけれど本当にそうなのかと怖くなった。 本性を隠すために長年巨大な猫を被り続けて来たのにそれが出会って間もない人に見破られるかもしれないという怖さ。 しかもその相手が蓮に対して横恋慕していると来ている。 (あぁぁぁ、もう!) 気を抜いていいのかダメなのかよく分からなくなってモヤモヤしてしまう。 こういう時は──と、包丁をダンッ! とまな板に振り下ろした。 (一心不乱に料理すべし!) とりあえず今は何も考えずにひたすら食事の支度に没頭したのだった。
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