flavorsour 第三章

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「ほら、こっちだよ。ちゃんと覚えようね」 「……」 『俺が嫌なの』と言った声は酷く低かった。それまで感じていた彼のイメージとは結び付かないような暗くくぐもった声。 だけどそれはほんの一瞬のことで、今はもういつもの明るい口調に戻っていた。 「……」 もしかしたら彼には何か心に抱える闇──みたいなものがあるのかもしれない。同性愛者ということで私には分からない辛い出来事なんかがあったのかもしれない。 だけどそういったことに関して私は彼の救いになる存在ではない。 (寧ろ妨害しようとしている立場だから) まだよく分からない彼のことで頭を悩ませる日々は始まったばかりなのだと思うとまたもやため息が出てしまうのだった。
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