flavorsour 第一章

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そんな彼のことをその時は少しだけ気になったけれど(極力関わらないようにしよう)と判断してなるべく距離を置いたままやり過ごした。 まさか彼とこんな風に再会するとは思ってもみなかった。しかも流れ的に彼の機転により助けられた。 普通はありのまま言うだろう。『会社の後輩の双子の妹』というキーワードを。 しかし彼はそうとは言わなかった。何故?──と思いつつ不思議なこととして私の中の印象に強く残った。 (なんだか考えを読まれているみたい) 私が言って欲しくないことをなんらかで察知したことを考えるとそんな途方もない考えが浮かんだ。 勿論そんなことはあり得ないのだけれど不覚にも合コンの間中、彼のことが気になって仕方がなかった。 差し障りのない会話、何気ない気配り、言葉の端々に感じられる人の好さ。それらを間近で見せつけられた私は彼に対していい人だという印象を持った。 (これで容姿がもう少し……) なんて考えてハッとした。 (いやいや、ないから!) 一瞬浮かんだ感情を慌てて押し込めて私は心の中でそっと気を引き締めた。 三時間近く続いた合コンがようやく終わった。参加したみんなが連絡先の教え合いをしている中、私は笹本さんの計らいでそれを回避した。 相手の男性たちも最初から私には彼氏がいるという認識だったから思ったよりもあっさりと引き下がってくれた。 勿論榛名さんも私の連絡先を知りたそうにはしなかった。
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