flavorsour 第三章

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出社した私は自分のデスクに着いた途端、盛大なため息をついた。勿論心の中でだ。 (はぁぁぁ~~~疲れたぁ~~~) バス停まで送ってくれた彼は乗るバスが来るまでずっと話をしていた。私がバスに乗ってからもその姿が見えなくなるまで彼は手を振っていた。 (いやいや、あそこまでするって) いくら私に取り入ろうとしているとはいえ彼の行動にはどこかやり過ぎ感がある。 (でも……まぁ……) そんな彼の行動を甘んじて受け入れると決めたのだからいちいち文句は言わずにグッと我慢した。それが私にとっては多少なりともストレスに感じてしまうのだけれど。 (やっと一息つける) 彼と離れていられるこの場所が今の私の唯一のオアシスのような気がしてならない。──と同時に (これ、いつまで続くのかな) 彼との同居がどれくらい続くのか、今のところは全く見当がつかない。しかし早いところ同居解消に持って行かないと色々面倒なことになりそうな感じはした。 (主に私の精神面が……ね) ほんの三日ほど暮らしただけだけれど既に若干危ないと思っている。見かけや性格は全く好ましくない彼だけれど、何故か一緒にいることにさほどの居心地の悪さは感じなくなって来た。 家事を手伝ってくれたり決めたルールを守ってくれたり、それなりに気配りが出来る──そんなところに大変好感が持てた。
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