flavorsour 第三章

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(ひょっとしてまた彼から?) そんなことを思いながら携帯画面を確認すると蓮からのメールだった。 【榛名さんと上手く行っているみたいだな】 (は? どういうこと?) 内容的には私が作ったお弁当を榛名さんがめちゃくちゃ自慢しまくっていた、美味しい美味しいと言いながらあっという間に平らげてしまった──など、想像するに容易いことが書かれていた。 (蓮に自慢するって) 好きな相手に何とも思っていない相手の手作り弁当を褒めるという心理はどういったものか。これが異性だったとしたらまぁなんとなく分からない思考でもない。 つまり嫉妬させたいとかそういった心理。 だけどあくまでも彼の相手は蓮であって、男であって、既婚者なわけで…… (中々の不毛振りね) それでも少し考え方を変えれば、私と仲がいいアピールをして蓮の心証をよくする作戦だとすればそれはそれで納得出来た。 (いやいや、本当はよく分からないんだけれど) ごく普通の恋愛も上手く出来ない私が、ましてや同性愛を理解しようとするのは中々ハードルが高かった。 (でも……まぁ) 彼が私の作ったお弁当を喜んでくれたのは素直に嬉しかった。例えその喜びが偽りのものだったとしても。 それをそのまま受け入れなくてはこれから先、やってはいけないだろうと思ったのだった。
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