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「兎に角、会社近くでの待ち合わせとか止めてください」
「えぇー、だって心配なんだよね、蘭ちゃんひとりで帰らせるとか」
「私は今までひとりで帰っていましたけれど」
「今まではそうかもしれないけどこれからは違うかもしれないじゃん」
「違わないと思います」
「何を根拠にそんなこと胸張っていえんの?」
「……なんだかこの会話、おかしくないですか」
「え、そう?」
「……」
(おかしいでしょうが!)
彼が何を言いたいのか分からない。ひとりで帰らせるのが心配とか、それで会社近くで待ち合わせとか、そんなの……
(私のこと、好きでもないくせに)
そこまでして私に好く思われたいのかと思うとため息しか出て来ない。
「というか、今日はたまたま午後から直帰の仕事でさ、いつもより早く退勤出来たんだよね。だからこうやって待ち合わせてみただけでいつもこんなことが出来るわけじゃないから今日ぐらい大目に見てよ」
「……」
(あぁ、なるほど)
疑問に思っていたことが分かって少し気が晴れた。そして今日だけに限って行われた待ち合わせだというのなら彼の言う通り大目に見ようかと思った。
バス停に向かう道すがら、そして列に並んでいる時も彼とは距離を空けた。何処で誰に見られるか分からないから用心に越したことはないのだ。
そんな時、鞄に入れていた携帯からピンッ! と受信音が鳴った
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