flavorsour 第三章

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そしてものの数秒で帰って来るメール。 【気が合うね、俺たち。生姜焼きなら俺に任せて! 美味しいの作るよ♪】 (え、作ってくれるの?!) 意外な展開にまたしても驚いた。確かに夕食はどちらが作ると決めていなかった。先に帰宅した方が作るという曖昧なルールだった。 しかもふたり帰りが一緒になった場合はどうするかということも決めていなかった。 てっきり作るモードになっていた私は彼のメールを何度も観た。 (こういう展開、かぁ……) 何ともいえないくすぐったさが胸に充満して行った。 そんな細心の注意を払いながら自宅近くの停留場でバスを降りた私たち。数歩歩いた処で彼が「蘭ちゃん」と呼んだ。少し前を歩いていた私は後ろを振り返った。 「ねぇ、もう話しかけてもいいんでしょ?」 「……そうですね」 律儀にそんな確認を取ってから彼は私と並ぶ様にやって来た。 「晩ご飯、生姜焼きでいいんだよね」 「はい」 「じゃあ買物して行こう」 「ですね」 バス停と自宅マンションの間にはスーパーがあった。ついでにいうとドラッグストアやコンビニに郵便局、数件の飲食店など、日常生活で必要とされるお店や施設がほどよい距離にあった。 蓮の住むマンションにも近いし立地もいい。住むには何も問題がない環境だった。ただ、無理やり問題点を上げるとしたら──
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