flavorsour 第一章

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だけど遊びなどで遅くなる分には厳しく詳細を訊かれた上に日付が変わる前には帰宅しなければいけなかった。 母曰く『お父さんは蘭のことが可愛くて大切に思っているから心配なのよ』と言うが、そんな可愛い娘ももう25歳だ。いい加減娘離れして欲しいと強く思う。 (まぁ……気が気じゃないんだろうな) 私は20歳を過ぎた頃から父の紹介によるお見合いを何度かして来た。それは父の会社関係の人からの話だったり、私を見染めて来た話だったり色々あったけれどいずれも良縁とはならなかった。 その主たる原因は私の方にあると思う。 紹介される男性は如何にも御曹司といった風体や私に合わせたかのような容姿のいい男性ばかりだった。だけど私はそういった見た目のいい男性を好まなかった。 ──これも私が周りには秘密にしていたことのひとつだった 私の男性に対する価値観は主に父と双子の兄によって育まれて来た。 強面で大きな体をした屈強な男性。だけどそんな見かけなのに中身はとても優しくて純粋で一途な気持ちを持っているというギャップに幼い頃から心をときめかせていた。 長年、父の母に対する愛情深さを見せ付けられているうちに私も父のような男らしい人にドロドロに愛されたいと思うようになった。 そんな父に似ている蓮もやっぱり純粋で優しい気持ちを持った男性で、蓮の妻となった花咲里を見ていれば幸せな人生まっしぐらだということが証明されている。
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