flavorsour 第三章

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「こういうの、興味ないかな」なんて彼がやたらとアプリを進めて来るのはどうしてかと思ってしまうけれど、前に決めたように彼の前ではあまり気取らなくてもいいのではないかという思いからその誘いに乗った。 「……実は……やっています」 「ん?」 「金の帝国……私、やっているんです」 「え、嘘、本当?」 「はい。だから──」 「もしかしてまだ結婚していない?」 「え!」 『結婚』という二文字に驚き、思わず大きな声が出てしまった。 (ゲーム! ゲームの話だよね!) 「あ、ゲームの話だよ」 「……分かっています」 追い打ちをかけるような言葉にすんっと冷静になった。 アプリゲーム【金の帝国】はよくあるごく一般的なMMORPGだ。自分好みにカスタマイズしたキャラクターを育成させながらストーリーを進めて行き、次第に仲間が増えたりギルドに入ったりしてどんどんレベルを上げて行くというもの。 その育成システムのひとつに結婚制度というのがあり、ある一定の親密度を上げたキャラ同士は結婚することが出来て、伴侶関係になった者同士しか挑戦することが出来ないカップルクエストというものがある。 そのクエストを成功させるとかなりレベルが上がるし、レアなアイテムがゲット出来るというお得なものだった。 しかし私は未だに結婚出来ていなかった。
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