flavorsour 第三章

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そうして彼の言葉に甘えて先に入浴することにした。一度部屋に戻って電池切れ間際の携帯を充電器に繋いだ。 (はぁ……ヤバい……) 夕食を終えてからの数時間がめちゃくちゃ楽しかった。こんなにも時間を忘れてひとつのことに夢中になったのなんてどれくらいぶりだろう。 (悔しいけれどすっごく充実していた) そんなことを考えてしばらくボーッとしてしまった。 入浴を終えてから一時間ほど経ってからベッドに入った。いつもの就寝時間よりも少し遅くなったせいかどうか分からないけれどその夜は中々寝付くことが出来なかった。 変な意味ではなく、恐らく脳内が興奮しているからだろう。楽しかった記憶がそのまま未だに脳内にある種の興奮物質を放出し続けている気がする。 (もう、なんなのよ) たかがゲームをしただけ。だけどそれは今まで私が他の誰にも明かしたことのなかった趣味を晒した結果なされたことだ。 (……何も言わなかったな) 彼は私がゲームをしていたことに対して悪い意味での驚きや偏見をぶつけなかった。さも当たり前のようにゲームをする私を受け入れてくれた。 (本当、変な人) 例え彼に何かしらの企みがあり、敢えてそういう態度を取ったとしていても、何故か今の私はとても清々しい気持ちでいっぱいだった。
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