flavorsour 第三章

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共通の趣味に興じるようになったあの日から私と彼の関係は少しだけ変わったような気がした。 「ただいまー」 「おかえりなさい」 「今日も晩ご飯作らせちゃってごめんね」 「構いませんよ。私の方が先に帰宅していますから」 「今週はちょっと忙しいから明日も帰宅時間、これぐらいになるかも」 「分かりました。食事の支度は出来ています。すぐに食べますか?」 「うん、もうお腹ペコペコ~~~って、蘭ちゃん、まだ食べていないの?」 「え、あ、まぁ……」 「先に食べていていいって言ったよね?」 「その……あまりお腹空いていなかったので……どうせなら一緒に食べようかな、と」 「それって俺を待っていてくれたってこと?」 「ち、違いますよ! あくまでも今、やっとお腹が空いて来たという──」 「はいはい、じゃあ一緒に食べよっか。ちょっと着替えて来るからもうちょっとだけ待っていて」 「どうぞごゆっくり!」 「ふ、はははっ」 「~~~」 こんなやり取りが楽しいと思えてしまっている。 (あぁ、もう!) すっかり彼の前ではクールでポーカーフェイスな着ぐるみを着続けることが出来なくなっていた。 だけど偽りの姿で居続ける苦痛よりも、素の自分を少しずつ曝け出す恥ずかしさの方がマシなような気がした。 そう思わせてくれるのは彼の私への態度に起因するところが大きい。
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