flavorsour 第一章

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だから私は男らしい男性を求め続けている。見かけは屈強でも心優しい人。 顔の美醜には特に関心がなかった。父や兄のように私を──本当の私を心から愛してくれる男性なら精一杯の愛情で応えたいと思っていた。 ──だけど長年続けて来た偽りの私はそういった男性を遠ざける結果となった 私に積極的に言い寄って来るのは大抵自分に自信のあるナルシスト気味の優男。どんな女でも簡単に落とせるなんて軽口を叩くようなろくでもない男ばかりだった。 それにそういった男は私の外見だけを見て中身を見ようとはしない。 ただ連れて歩くのに見栄えがいいから躍起になって手に入れようとしている輩ばかりだった。 そういう男が嫌で嫌で堪らなかった。女を所有物のように扱う男は全て嫌悪の対象だった。 かといって父や蓮のように見た目が厳つい男性にそれと無くアプローチしても自分とは釣り合わないとか騙されているとか、兎に角私の気持ちをそのまま素直に受け入れてくれる人はいなかった。 そんな中、たったひとりだけ私の気持ちに応えてくれた男性がいた。 大学時代のサークルの後輩だった歳下の人。体が大きくて朴とつとした人だったけれど、見え透いた優しさで私に接してこなかったところに惹かれて私から告白した。 最初彼は盛大に驚いたけれど、それでも告白を受け入れてくれた。
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