flavorsour 第四章

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「大丈夫? 手を貸そうか?」 「大丈夫です。……後はお任せしていいですか?」 「任された。蘭ちゃんはリビングにでも避難していなよ」 「……そうさせてもらいます」 少しよろけながら彼女は廊下を歩いて行った。 (大丈夫かな) そんな心配をしつつ洗面所の箱の処理を始めた。小さな縦長のハウス型の箱。いわゆる例の黒いヤツを捕獲するためのホイホイだ。 昨日、風呂掃除をしていた彼女が黒いアイツを目にしたと悲鳴を上げながら俺の元にやって来た。よほど怖かったのか酷く怯えた彼女は躊躇なく俺に抱きついて来た。 彼女にとっては恐ろしく不幸な出来事だっただろうが、俺にとってはラッキー以外の何物でもなかった。 俺の体を締め上げる彼女の柔らかな肢体に思わず性的欲望が沸き上がって来てしまったが、彼女が心の底から怯えているのが俺はそんなことを思った自身を恥じた。
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