flavorsour 第四章

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最初は知らない人じゃないしそんな偶然もあるのだと大して気にも留めなかった。しかしあまりにも【偶然】があり過ぎるとそれはもはや偶然ではなく── (【必然】、だな) どうやら彼女は悪質な付きまとい行為を受けているようだ。しかもその相手というのが以前、彼女の口から出た人物だと分かった。 ナンダカ シマサンノコトガ ヨクワカラナイ (しまさんって……アレ、だよな) 不意に視線を巡らせた其処にあったのは植木鉢。窓際の日当たり良好な場所に置かれている植木鉢にはピンク色の花がもっさりと咲いていた。 一体何の花だろうと調べてみた。画像検索してヒットしたのが【ブーゲンビリア】という花だった。 画像と共に花にまつわる由来や育て方が書かれていた。その中に引っかかった箇所があったことを思い出した。 それは花言葉。ブーゲンビリアの花言葉は『情熱』『あなたは魅力に溢れている』と共に『あなたしか見えない』──そんなのがあった。 (単なる偶然だと思っていたが) 男がいちいち花言葉を気にして贈るものか? なんて軽く考えていたが、この状況になって彼女と共に不安な気持ちが湧いた。 (もしかしたら意図的にそういう気持ちを込めてあえてあの花を彼女に贈ったとしたら……) 何となく直感めいたものが働いた。 「蘭ちゃん」 「……」 「蘭ちゃん」 「……っ!」 何度目かの呼びかけで反応した彼女に遠回しに仕掛けてみた。
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