flavorsour 第四章

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「ねぇ、その嶋さんって会社ではどんな風なの?」 「どんな風って……部署が違うのであまり話したこともないからよく分からなくて……ただ前に話したようにお昼休憩の時、屋上で会うと話す程度で」 「好きって言われたことはない?」 「え? あ、ありません! 嶋さんだってそんな……私のことをよく知らないはずですし、よく知らない人に恋愛感情なんて抱かないでしょう?」 「……」 (えぇー、どこまで本気で言ってんだ?!) 彼女の性格を知らない人間からしてみれば彼女のこの発言は単なる嫌味にしか聞こえないのではないか。 自分が一目惚れされるほどの容姿だと分かっているのか否か、そんなの関係なくとりあえず『癪に障る女』と思われてやっかみの対象になってしまう危険性がある。だけど彼女は…… ソウヨ ワタシナンカヲ スキニナルハズナイ (本当に心からそう思っているんだからなぁ……) 世間知らず──いや、自分知らずなのか純粋なのか、とりあえず彼女は恋愛上手な女性ではないことが判明した。 (まぁ、そういうスレていないところもいいんだけどね) 魅力的な容姿に人格者のような性格がありつつ、男慣れしていない身持ちの堅さのある彼女は俺の目には益々眩しく映った。
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