flavorsour 第四章

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決して楽観視しているわけではないが、そんな軽口が叩けるならまださほど深刻な問題ではないのだろう。 「とにかく俺がなんとかするから」 「何とかするって……」 イッショニ スンデイルトカ ソウイウコトヲ イワレルト コマルンダケド 彼女の不安が頭の中に流れ込んで来た。 (ふぅん……やっぱりそういうことは言って欲しくないのか) 残念ながら彼女は俺とのことを他人には知られたくないようだ。ならば極力彼女が嫌がることはしたくない。 しかしだからといって俺との関係を隠したままではあの手の付きまといをする男を説得することは出来ない。 ということは── (要はバレなきゃいいんだよな) 決して威張れることではないが、こういったトラブルめいたことは幾度となく遭遇し解決して来た俺にとっては何でもないことだった。 (彼女を怖がらせ悩ませた報いは受けてもらおうか) まだ見ぬ嶋さんなる男に対して俺は既に戦闘態勢に入っていたのだった。 翌日から俺は動き始めた。とりあえず嶋という男の顔を認識することから始める。 彼女にはいつもと変わらない嶋との会話、帰り道での接触を心掛ける様にとだけ伝えた。その言葉に若干腑に落ちない表情を浮かべた彼女だったがそれでも「分かりました」と了承してくれた。 (心配するな、俺がちゃんと解決してやるから) そんな強い気持ちでその時を待った。
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