flavorsour 第四章

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『何も関係がない榛名さん』と言ったのには少々カチンと来たが、すぐに聞こえて来る彼女の本音は俺に対しての心配で溢れかえっていた。 ハルナサンガ シンパイナノ モシ ハルナサンニナニカアッタラ ワタシ…… (……ふっ) 思わずニヤけそうになる口角を引き締め、彼女に向かって爽やかに笑って見せた。 「大丈夫、そんなに心配しないで。蘭ちゃんのマイナスになるような対処はしないから。だからといって危ない目にも遭わないから」 「……本当ですか?」 「本当、本当」 「……」 「だから蘭ちゃんはいつも通り、変に勘繰った発言とかしないように気を付けてね」 「……はい」 少し俯きながら返事をした彼女の戸惑った声が脳内に響いた。 ヤッパリワタシガ キヲモタセルヨウナ ハツゲンヲ シタカラ ソレガ ゲンインナノカモ シレナイ その心の声から先刻俺がチラッと思い浮かべた仮説がこの件の原因のひとつとなるのだろうと確信した。 急に彼女に対してつきまといが始まったのは彼女が何かしら気を持たせるような言葉を嶋に言ったから──。 きっかけが分かるとおのずと解決策も絞られて来る。要は『彼女は君のことを何とも思っていない』と伝えればいい。 しかしそう言って「はい、そうですか」と引き下がってくれる奴ならいいが大抵は拗らせて揉める方向に行くだろう。 (──さて、どうしたものか) 恐らく俺の行動如何によって全てが決まるような気がした。だからこそ慎重に事を起こさなければいけなかった。
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