flavorsour 第一章

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(は? なんで?!) 何故突然私の隣に榛名さんがいるのだという事態に一瞬頭の中がフリーズした。 隣に座っている榛名さんを凝視したまま固まっていると「家まで送って行くよ」なんてにこにこしながら言った。 「……結構です」 辛うじてそう答えた。なのに── 「いやもう遅いし。電車じゃないよね、バスに乗って帰るんだよね」 「!」 「どうして知っているのって顔だね。知っているのは伊志嶺くんに訊いているから。実家暮らしで会社にはバス通勤しているってこと」 「蓮から?」 「うん。なんか色々教えてくれた」 「……」 (なんで?! なんで蓮ってばベラベラと──) というか蓮が他人に、ましてや男性に私に関することを話すなんてことはあり得なかった。 元々人見知りの奥手。人と関わるのが苦手な蓮が家族以外と慣れ親しむことなんて考えられなかった。 家族以外で知っている蓮の親しい人といえば、それは勤めている会社社長の加々宮さんくらいだった。 そんな蓮が何故この人──榛名さんに私の個人情報を教えたのか理解に苦しむ。 (……あ、でも) 結婚式の案内係を頼むくらいだからそこそこ仲がいいのだろうか? それとも何か弱味を握られて無理やり──…… (って、それはないか) 蓮の性格からしてそういった卑怯なことには屈しない。 (だったらなんで?) 何をどう考えても分からない。
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