1809人が本棚に入れています
本棚に追加
──その時
ドウシタラ イイ
(!)
ドウシタラ ナニヲイッタラ コノバカラ ノガレラレル
(これは……嶋の心の声?)
ここに来て嶋の本音が聞こえて来た。それは恐らく俺がこの嶋という男に興味を持ち始めたから。
(はぁ……今回はこれが役に立ちそうだ)
忌み嫌っていた能力がこの場においては有利に働くかもしれないと、皮肉にもこの力があってよかったと思ってしまった。
ボクハ ツキマトイナンテ シテイナイ
タダ イシミネサンノコトヲ モット シリタイダケデ
コワガラセルツモリナンテ ナカッタ ノニ
(……)
嶋から聞こえる心の声はストーカーと呼ぶには気弱過ぎるものばかりだった。
本当に恋愛に関しては奥手なのだろう。それでも好きになった女性になんとかして近づきたい、親しくなりたいという切羽詰まった気持ちがこういう行動を取らせてしまったのか。
(まぁ、こういうタイプは悪事が露見したら大人しくなるだろう)
そんなことを考えていると嶋から予想もしていなかった告白が聞こえて来た。
(──は? なんだ、それ)
思わず嶋の顔をガン見した。俺の視線に気が付いた嶋は上げた顔を明らかにハッとさせてわずかに視線を外した。
(……なるほど。そういうことだったのか)
俺は当初から疑問に思っていたことに対する答えを知り自然と眉をひそめた。
そしてこの嶋という男は俺が思っていたような男ではないと、考えを改めなければいけなくなった。
最初のコメントを投稿しよう!