flavorsour 第五章

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「おー、期間限定のスキンガチャ。いいの入ってんなぁー」 「新入荷のものが多いですね。でも確率の配分、すっごく厳しいです」 「まぁねー。そもそも単発無しの10連のみっていうのが鬼畜仕様だよね」 「課金するなんて以ての外ですしね」 「あぁ、そういえば蘭ちゃんはそういうポリシーだったね」 「榛名さんはまたしちゃうんですか、課金」 「んんー……いや、最近はそうでもない」 「というと」 「蘭ちゃんと組んでやるようになってからはカップルクエで結構いい感じのレベルアップアイテムもらえるじゃん。ぶっちゃけやり方次第では無課金でも強くなれるなぁと思ってさ」 「ですよね」 「でもスキンガチャとかは別じゃない? 運っていうか。だから今まで強化アイテムに回っていた課金分をそっちに回そうかなと思って」 「やっぱり課金はするんですね」 「微課金だよ。趣味の範囲内としての金額にしたら安いものじゃない?」 「まぁ……千円、二千円で納まるなら確かに安いですけど」 「納めている。俺は廃課金者になって人生破産させるほど愚かではない!」 「人生破産って」 (自己破産とは違う意味なのかな) 榛名さんとの会話が面白くて思わず素で笑ってしまう。 (あぁ……なんだか落ち着くなぁ) 最近こんな風に思うことが多くなった。 榛名さんと暮らし始めた頃にはなかった寛げるという感覚をやたらと覚えるのは単に一緒に暮らした時間、日数が増したからだろうか。それとも── (……) 隣に座っている榛名さんとチラリと盗み見る。携帯の画面を観ながら「なんだかなー。物欲センサーでも感知されてんのかなー」なんて無邪気なことを言っている榛名さんをつい可愛いと思ってしまう。 (いや、歳上の男性に可愛いは失礼かな) 勿論姿形からの可愛いではなく、仕草や動作、言動なんかを指して思っているのだけれど。
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